◆がむしゃらに描いて-海洋船舶画家上田毅八郎のあゆみ-
上田毅八郎(大正9(1920)年~)さんは、戦争中、陸軍の船舶砲兵として6回もの船の沈没に遭遇するなど苛酷な
体験をしました。昭和19(1944)年11月、輸送船「金華丸」に乗船中、マニラ港で3日間に渡り敵機の攻撃を受け、
一命を取り留めたものの、利き腕の右腕と右足を負傷しました。その後、右手が動かなくなったため、左手で字が
書けるよう訓練に励み、帰郷後、家業の塗装業を継ぎました。仕事のかたわら、もともと好きな軍艦の絵を描いて
いたところ、その絵がプラモデルの箱絵に使われたことをきっかけに、画家としての道を歩むことになります。これ
まで数多くの作品を制作してきましたが、中でも軍艦などのプラモデルの箱絵は現在も多くの人々に親しまれて
います。
本展では、海洋船舶画家として知られる上田さんの画業の原点となった戦争での負傷体験、とりわけ上田さん自身
が船舶砲兵として乗船した数々の輸送船や、上田さんが遭遇した海戦などを描いた約40点の絵画により紹介します。
輸送船を描くことは自らの使命だと語る上田さんが1枚1枚の絵の細部にこめた想いを、上田さん自身による絵の解説
とともにご覧下さい。
また、今回初公開となる当館制作の上田さんの証言映像を上映します。上田さん自身が語る負傷体験とその後の
苦労、画家としての再出発という人生の歩みをぜひあわせてご覧下さい。